創作

いつかの私たちへ

私たちはどうやったら幸せになれるのだろう。いつになったら幸せになれるのだろう。夜明け前の薄暗く濁った一人暮らしの部屋で、ベッドの中から窓の向こうの四角い街をただじっと眺めるだけの私たちを、一体誰が幸せにしてくれるのだろう。 私たちは夜を愛さ…

コーヒーの味を思い出すことはしない

最寄駅までの道にある、昔ながらの佇まいをしたやや小汚い喫茶店がずっと気になっていた。踏切沿いにあるその店は、ほんの三、四席のこじんまりとしたカウンターと、四角い白いテーブルが五つほど配置されているだけのシンプルな造りで、いつも地元の人間で…