曲がりなりにも大人なので

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土曜日、谷中銀座からスタートして千駄木~根津あたりを散歩。

谷中のあたりには、学生時代にたまに来ていた。もう行き方を忘れてしまったが、あの辺りにはかき氷の有名店「ひみつ堂」があって、当時付き合っていた人と授業の合間に食べに行ったりしていたのだ。

とはいえ、谷中銀座で買い食いするのは初めてなので、とても新鮮な心持ちだった。気の合う人間とする食べ歩きはいつでも楽しい。

入ってすぐのお店で、イカ焼きを買って食べた。イカ焼きというとイカの身を串に刺して焼いたやつを想像したが、どうやら違うらしい。

小麦粉とイカとチーズを混ぜて焼いたたこ焼きのようなものにマヨネーズがたんと掛かっていて、それを駄菓子屋で売っているあのピンク色で大判のえびせんで挟んだものを頂いた。もちろんうまい。暴力的な味がした。基本的に2人ともすぐ食べるので写真はない。

その後もお惣菜屋さんでゲソのから揚げとか焼き鳥とかそういうジャンキーなジャパニーズ・フードをたくさん食べた。これも例によって写真はない。

私はこういう時、絶対焼き鳥を買う。大抵皮かもも。皮焼きは罪の味。
対して同行者はカニクリームコロッケを買って食べていた。自分では絶対チョイスしないなと思いつつ一口もらう。これも間違いなくうまい。

商店街の突き当りに魚屋さんがあって、そこで海鮮の串焼きを売っていた。同行者が前もって目をつけていたらしく、ウッキウキで牡蠣の串を買っていた。
私はエビとホタテ。どちらもおいしかったが、ホタテは肝の部分がちょっと苦手な味だったので食べてもらった。貝柱は無論うまい。

 それから谷中霊園でお猫様に触らせてもらって、お散歩ビンゴなる遊びをしながら少し歩いた。要は街中で見つけたものをあけていってビンゴをするというだけの遊びなのだが、なかなかどうしてこれが結構楽しい。こういう遊びに付き合ってくれる相手は貴重だ。

「ビンゴごとにお互い1000円ずつ貯金して、次どこかに出掛ける時にそのお金で少し贅沢をしよう」

そう相談して始めたけれど、別れ際にはそんなことすっかり忘れて帰った。というか、その前に私はこの日の飲食代も踏み倒している。早く返さないといけない。


インドア派の人間の散歩は長くは続かないというのは定石である。なので、そもそものプランにしっかり「喫茶店で休憩」というフェイズが盛り込まれている。

千駄木駅付近には小さな喫茶店がたくさんあって、いくつか見て回ったあと、ネットで見た店内の写真を気に入ったお店に入った。レモネードがおいしい。2週間後に行く旅行の計画を立てながらゆっくりした。

 

1時間半くらい座って気力が回復したので、飴細工のお店に向かう。手作りの飴細工を実演販売してくれるお店で、いのししを作って貰った。理由はかわいいから。「来年の干支だし」というのは完全な後付けである。

実演の間は職人さんがガラス越しに工程を説明してくれるのだけれど、作業の途中まで店内には他に客がおらず、静かなフロアに我々の「へー」「すごい」といった平坦な声だけがぼうっと響いていて少し申し訳なかった。とはいえ、私の身体はこういう時に「へぇ~!」「すごいですね~!」「そうなんだ~~!」と情感たっぷりに反応できるようにはできていないので仕方ない。

いのししはでっぷりとした胴体と短い手足がかわいいのだが、作る工程は丸めた飴に切り込みをいれていくという結構シンプルなものだった。

「次は鳳凰にしますか」
「タコも良さそう」

次回はもう少し複雑なやつを作ってもらおうかという話をしたが、谷中の方には自分で飴細工を作れるワークショップを開催している店舗もあるらしく、今度はそっちにも行ってみようということになった。


それから「木村屋」という駄菓子屋に行った。こうして改めて行程を書き出してみると、それなりに色々なところを回ったなと実感する。

木村屋さんはザ・町の駄菓子屋さんといった趣のある佇まいで、我々が着いた時には地元の子供たちが親子連れで駄菓子を買いに来ていた。
店内が恐ろしく狭く、大人はおろか子どもすら満足に擦れ違えないような様相だったので、駄菓子を選ぶ子どもたちの波が去るまで入口の横のところで待つことにした。曲がりなりにも大人だから。

見ていると、子どもたちは貰った100円の中で何を買うかを一生懸命に計算している。限られた資金でいかに満足度を上げるかを考える姿が微笑ましい。いいものを見させてもらった。
買ったお菓子を入れてくれる袋もチラシを糊付けして作った包みで、ここは本当に2018年の東京だろうか?と疑いたくなるようなノスタルジーがそこにあった。

店を出た後に「子どもたちからしたら金にものを言わせて好きなだけ買いやがってって感じでしょうね」という話をした。曲がりなりにも大人なので、駄菓子屋でなら合計金額を気にすることなく欲しいものを好きなだけ買えてしまう。実施、結構買ったかなと思ったけれど、300円いかないくらいだった。これには大人である私もニッコリである。


大分日が落ちて、夜は予約していたタコ料理のお店。
たこわさを頼んだら酒粕で和えてあるらしく玄人向けの味だったので、「我々には早かった」と言った。2人とも酒粕はあまり好きではない。

タコ天、当然うまい。タコの踊り食い、面白い。吸盤が口の中に張りつく。こう言っては何ですが動かなくなったあとは普通のおいしいタコのお造りです。

そして問題の明石焼きである。

ふわふわとしていてタコがいっぱい入っていて、あたたかいだしにつけて頂く。何を食べているのかよく分からず脳が混乱したが、やさしい味でうまい。

でも一番おいしいと思ったのは白身魚のお造りの盛り合わせでした。お刺身が好きだからね、仕方ないね。

 

そんな感じで帰ってから商店街で買ったお惣菜の残りを食べて早めに寝た。買った駄菓子も全部その日の夜に食べてしまった。

書いたもの以外にも根津神社に行ったりとか(鳥居がたくさんある神社なので「京都の伏見稲荷ジェネリック」と言ったら笑われた)、猫のしっぽを模したドーナツを買って食べたりとかもした。

出不精の私でもまた行きたいと思うくらい楽しくてうまい散歩でした。やっぱり食べ歩きと駄菓子は最高。