WAIS-Ⅳを受けた話
ふと思い立って、先日某心療内科で「WAIS-Ⅳ」なる心理検査を受けてきました。先ほどその結果を聞いてきたので、自分の気持ちの整理とネットの海への放流を兼ねて、忘れないうちにブログに書いておきます。
結論から言うと、「健常者と比べて自閉症スペクトラムの傾向がある可能性が高い」とのことでした(各種数値など詳しいデータは後述します)。面談してくれたお医者さんは断言はしませんでしたが、素人なりにいろいろと調べてみた結果、「これ普通に結構傾向強めなんじゃないの…? 」という印象です。本当のところは分からないけどね。ワッハッハ。
もちろん心理士さんやお医者さんによって結果の出し方や読み解き方は違ってくるとは思うものの、心情的には「分かったことで大分楽になったなあ」という気持ちと、「言うてもそんなに結果は出ないんじゃないかと思っていただけに意外」という気持ちが半々といったところ。まさかこんなにくっきり出るとは、というのが正直な感想でした。
■検査を受けたきっかけ
よく言われる「生きづらさ」のようなものを感じ始めたのは、たぶん高校生くらいの頃から。周囲の会話に馴染めなかったり、世間話がうまいことできなかったり……そういう日常生活への漠然とした困難さを抱えたまま大人になり、社会に出てそれを一層感じるようになりました。
忘れ物や遅刻も日常茶飯事。物をどこに置いたか分からなくなって機嫌が悪くなる(自分で自分をコントロールできなくなる)こともしばしば。周囲の音や光にもやや敏感らしく、大きな音や突然鳴る音が苦手なので、電車やバスで移動する際にはヘッドフォンをつけていると安心します。
上記のような症状のせいか、社会人になって1年ほど過ぎた頃から心療内科のお世話になるようになり、適応障害の診断がおりたり急に泣き出したりと情緒が不安定な日々を過ごすこともありました。これについては持病(バセドウ病)の影響も少なからずあるとは思うのですが、とにかく大多数のみんなが普通にできている(ように見える)「毎日会社に行って仕事をする」ということが精神的に大分しんどかった。
今となっては笑い話になってしまっていますが、飲み会が嫌すぎてトイレにこもって泣いたり、「何でみんなができてることが普通にできないんだろう」という考えに囚われて就業中にトイレで泣いたりとかもよくありました(トイレで泣きすぎ)。
自覚している自分の特性をまとめると、下記のような感じかと思います。
・コミュニケーションが苦手
→極論他人の話に興味がないので、世間話のような一般的な会話が上手くできない。複数人の会話になるとどこで話していいか分からず黙ってしまう
・初対面の人や新しい環境が苦手
→急な変化に弱い。予定変更によりパニックになるところまではいかないが、許されるなら同じことをずっとやっていたい
・忘れ物(物の置き忘れ)や遅刻が多い
→先を見通せないので手に持っているものをぽんぽん変なところに置いたり、出掛ける時間ギリギリに別のことを始めたりしてしまう
・感覚過敏(主に音)
→寝るときは本当に無音じゃないとなかなか寝付けなかったり、人の話し声や大きな音が苦手。また、他人の生活音がすごく気になってしまう
・耳からの情報を処理するのが苦手
→筆記に比べて英語のリスニングのテストができない。集中して聴覚情報を拾うことが苦手なのでラジオや動画がダメで、全部文章で説明してほしいと思ってしまう
とにもかくにも、「みんなができていることがどうして自分にはできないんだ」という風に思考してしまうのが一番しんどかった。そんなこんなでADHDやASDについていろいろネットで調べているうちに、「ぐだぐだ悩むくらいならいっそ検査を受けてみよう」と思うようになり心療内科へGO。
実は過去にも一度住んでいる市区町村の発達障害に関する相談所的なところにも行っていて、そこでは「学歴もあるし手先も器用そう(字がきちんと書けている)だしとてもそんな風には見えない」と言われていました。ただ、やっぱり単純に自分の得意不得意(特性)を知りたかったので、思い切ってWAISを受けてみることにした……というのが経緯です。
■検査結果について
さて、実際の結果がどんなもんだったかというと、各種数値は以下のようになっていました。
全IQ 112
言語理解 124
知覚推理 99
ワーキングメモリー 109
処理速度 102
「言語理解」と「知覚推理」の差がエグいよ~!がっつり25あるよ~!
各項目の詳しい説明は割愛しますが、気になる方はこっとんさんのブログ「WAIS-Ⅲの結果を元に自分を紐解いてみた - Fly!」に詳しく解説されてるのでそちらを読んでみてね(厳密にはWAIS-ⅢとⅣという違いはありますが)。
ちなみにグラフにするとこう。まあまあ凸凹している。一般的に、「どこからどこまでが障害」というのは一旦置いておくとしても、一人の人間の中でばらつきがあればあるほど生きづらさを感じやすいみたいです。わりかししっかり当てはまってるやないかい。
私が受けたのはWAIS-ⅢではなくⅣの方だったのですが、たぶん高い数値と低い数値の差が15くらいある(ディスクレパンシー)と発達障害っぽいと言われてるっぽいです。素人なのでぽいぽい言う。思っていたよりも差があったので一応気お医者さんに聞いてみたところ、「一応医学的な意味で発達障害というアレは出ています(うろ覚え)」ということでした。
あと、お医者さんから「全然そんな風に見えなかったんですけど、実際やってみたらかなり凸凹のある結果でしたね」と言われてウケました。私もまさかこんなに凸凹してるとは思わなかったので、内心「だよね~!」つって手叩いて笑った。本当に、実際に結果を見るまで「言うても普通なんじゃないか?自分が甘えているだけなんじゃないか?」とわりと本気で思っていたので、マジか!という驚きが大きかったです。
続いて、下位尺度の各種の細かい数値のグラフ。
・言語性
なるほど凸凹じゃねーの。同じ言語性IQの中でもかなり得意不得意がはっきりと出ていました。いや、素人知見なのでこの凸凹についてどれだけ理解できてるかっていったら本当に怪しいんですけど……。
特に「知識」と「算数」が低いのが本当に笑える。知識は世界史や日本史的、文学史などに関する問題が出たのですが、地理的な問題と世界史的な問題が何一つ答えられなくて積んだし、算数は言わずもがな。文章を耳で聞いて計算するという苦行だったので、もともと耳からの情報に弱い私にスラスラできる訳がなかった。後半はほとんど「分かりまてん!」を連呼してました。受験者として最悪ムーブすぎる。
基本的に、口頭にしろ文章にしろ「言葉で説明する」ことは得意なのですが、耳から曖昧な情報を聞いて処理したり意図を汲みとったりすることは苦手みたいです。それがコミュニケーションへの苦手意識に繋がっているんじゃないかな、と心理士さんのレポートに書いてありました。
・動作性
凸凹アゲイン\ドッ!/。最早どの項目がどの問題だったかうろ覚えなのですが、「行列」は多分目で見て類似性を探すみたいなテストだった気がする……覚えてないけど……。「記号」も同じような感じで、類似性を探すやつかな? これは自分では結構できたと思っていたのでそこまでではなくて意外でした。
反対に、自分ではすごく時間が掛かったと思っていた「積木」はそこそこ高めの結果に。「符合」は目で見て脳内で処理して手を動かして書くみたいなやつで、これは処理速度に関わるのかな? そこそこ得意な分野だったので、高めに出てました。
動作性については正直自分でも何が得意で不得意なのかは微妙だけど、レポートによると「視覚的な探索や照合が苦手」らしいです。これは探し物を永遠に見つけられないところを見ると納得かなあ。スーパーとかで棚から買いたいものを探したりするのも苦手だし。目の前にあるのに気づかないみたいなことが本当によくあります。
■テストを受けてみて
という訳で、検査結果上は発達障害の気がありそうという形に落ち着きました。断言されなかっただけで、実質医学的にはアレがアレしてるらしいし……。とはいえ、気持ち的には本当に楽になりました。WAISは発達障害をビシッと診断するためのテストではないのでもちろん鵜呑みにするのはアレなのですが、それでも「ああ、やっぱり自分にはその気があったんだな」という気付きにはなったので、それだけでも受けた価値があったかなと思います。
ただ、これ能力が平坦な人なんていないんじゃないですかね……? みんな何かしら凹凸はあるだろっていう。そう思うのは私がそういう脳みその作りをしているからなのかな~。高低差が25あるって時点で定義上は「一般的」じゃないんだもんな……いや普通って何……?(堂々巡り)
何にせよ、自分の漠然とした生きづらさのようなものに一つの指標ができたことは私にとって喜ばしいことでした。もちろん「自分はこうなんだから仕方がない」とあぐらをかいてはいけないけれども、過度に「どうして自分にはできないんだ!」と悩んで泣いちゃう夜は少なくなるんじゃないかなと思います。泣いちゃうのは本当につらいからね……。
という訳で、備忘録も兼ねたご報告ブログでした。もし私と同じような症状に悩んでいて検査を受けるか悩んでいる方、そもそも検査の存在を知らなかった方などなど、ほんの少しでもネットの海を漂流している誰かの助けになれば幸いです。
みんな、自分という方舟で人生をいい感じにライドしていこうな!!